こちらのブログでは、会議ファシリテーターの渋谷雅人が、会社の朝礼や打ち合わせを活用して、社員の自主自律的な行動を促すヒントをお届けしています。
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上司と部下の関わりを問い直す
今日は、上司と部下の関係性について考えていきます。
みなさんは、「伴走支援」という言葉を聞いたことがありますか?
「伴走支援」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
「並走」とは違うのか?
「ペースメーカー」とは違うのか?
箱根マラソンでは、警察の車が前を、監督の車が後ろを走るが、どちらが伴走なのか?
こうした疑問もでてくるかもしれません。

こちらの写真は、日本ブラインドマラソン協会のホームページからお借りしていますが、一人は「伴走」と書かれたものを着用しています。
視覚障害を持つランナーと伴走者の様子です。
まずは、この姿をしっかり焼き付けてください。
組織における伴走支援とは?
伴走者について、日本ブラインドマラソン協会の解説(抜粋)をご紹介します。
伴走者の役割(下線部:渋谷)
良い伴走者とは障がい者ランナーが安心して走れる伴走者です。では目が見えない障がい者ランナーが安心して走れるとはどういうことでしょうか。まず最も大切なことは視覚に障がいがあるランナーが安心して走れるように安全を確保し、周りで何が起きているか状況を説明することです。またランナーが走りやすいようにフォームや走路、ペースに気を配りましょう。最後は目標を持って走れるようタイムなどを管理することが大切となります。そのほか障がいの程度や現地までの移動手段、コースや周囲の状況などで必要なことが違ってきます。
視覚障がい者の方にしかわからないこと、感じられないことも多くあります。また一人ひとり不安なことや知りたいことも異なります。ここに挙げたことはほんの一例だと思って、相手が何をしてもらいたいかをよく話し合って下さい。
日本ブラインドマラソン協会の解説より抜粋
ここで、ブラインドマラソンにおける「伴走支援」を組織に置き換えて考えてみましょう。
良い伴走者は障がい者ランナーが安心して走れるようにする。
上司は、部下が安心して仕事を遂行できるよう伴走していく。
良い伴走者は周りで何が起きているか、状況を障がい者ランナーにきちんと説明する。
上司には見えていて、部下には見えていないことがたくさんある中で、見えている上司が部下にきちんと状況を説明することが重要。(より多くのことが見えているのが上司である)
良い伴走者は障がい者ランナーが走りやすいようにフォームや走路、ペースに気を配る。
部下の活動の仕方(例えば、営業であれば顧客とのコミュニケーションの取り方や頻度、訪問先や訪問の仕方など)に気を配る。
良い伴走者は、障がい者ランナーが目標を持って走れるようにする。
目標を掲げ、上司部下とでしっかり共有できている状態をつくる。
障がい者ランナーは一人ひとり不安なことや知りたいことも異なる。
部下一人ひとりの違い(得意・不得、強み・弱みなど)を考慮した対応が必要である。
ここに挙げたことはほんの一例だと思って、相手が何をしてもらいたいかをよく話し合って下さい。
ミスコミュニケーションはどちらか一方の問題ではありません。上司部下に限らず、相手のことはわからないもの。それを前提に相手の考えや思いを汲み取り、寄り添いながら活動していくことが重要です。
「並走」でもなく、箱根マラソンの警察のバイクでもなく、監督の車とも異なる「伴走支援」という関わりは、これからの組織におけるコミュニケーションのあり方に新たな光を当ててくれているのではないでしょうか。

まとめ
上司と部下の関わりをブラインドマラソンの「伴走支援」という観点から捉え直すことで、課題や解決策、改善点が見えてくる可能性についてお伝えしました。
また、上司部下に限らず、私たちは相手のことがわかっているようでわかっていません。
相手が何を必要としているのかに耳を傾け、周囲の変わりゆく状況や情報をきちんと共有し、一人ひとりの違いを認め対応を変えながらコミュニケーションをとってくこと。それが、自主自律的にゴールに向って前進していく社員を増やすことにつながると考えます。
これからのリーダーシップのスタイルは、統率型ではなく伴走型です。社長やリーダーの伴走力が、メンバーのパフォーマンスを向上させ、組織に成果をもたらすのです。

