こちらのブログでは、会議ファシリテーターの渋谷雅人が、会社の朝礼や打ち合わせを活用して、社員の自主自律的な行動を促すヒントをお届けしています。
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ビジネスの骨格とは?
今日のテーマは、ビジネス(ビジネスモデル)の骨格です。
ビジネスモデルキャンバスで説明すると、提供価値と受益者をつなぐ「GIVE」の部分になります。

受益者に価値を提供し、その見返りとしての感謝の代わりに金銭をいただきビジネスは回っています。
「誰に何を提供しているか?」がビジネスモデルの骨格であり、どの業界のビジネスにも共通する骨組みです。
「自分は誰に何を提供しているか?」
この場合の「自分」は、会社全体としてでも、部署ごと、プロジェクトごと、その中のメンバー個々人を単位として考えてもよいです。
そして、「何を提供しているか」は「どのような価値を提供しているか」です。
この問いを社員や組織のメンバーと考えることで、社員の思考が変わり、成果につながる行動変容が期待できます。

ここで、少し具体的な例を使って考えてみましょう。
たとえば、JR(ジェイアール)です。駅で切符を購入したり、チャージした金額から支払うことで、目的の駅まで行くことができます。
しかし、JRが提供しているものは切符そのものではありません。JRが提供している価値は移動手段であり、切符というかたちでその価値提供の対価をもらっているわけです。
移動手段という価値の提供という点では、バスやタクシー、飛行機も同じとも言えます。
次にNTTドコモはどうでしょうか? NTTドコモはスマートホンという商品を提供しているのでしょうか?違いますよね。スマートホンではなく通信手段が提供価値です。
スターバックスの場合はいかがでしょうか? スターバックスのコーヒーはコンビニエンスストアのものより随分高いですが、その価格設定にもスターバックスが提供しているものの価値が反映されています。
スターバックスが売っているものはコーヒーではなく、「くつろげる空間」です。家でも会社でもない、第三の居場所(サードプレイス)という価値に対しての価格設定なのです。
ですから、スターバックスが日本で最初に店舗展開をしたのは、東京のビジネス街でした。日頃家と会社の往復で疲れているビジネスマンに対してくつろぎの場を提供するのが、スターバックスのビジネスモデルだったからです。
ビジネスの骨格を正しく理解するための3つのポイント
改めて、あなたが携わっているビジネス(ビジネスモデル)はいったい誰に何を提供しているのかを考えてみましょう。
考えるにあたって重要なことは・・・
- 提供しているものは(提供価値は)商品そのものではない。
- 価値提供している相手は顧客だけとは限らない。
- 「さらに提供価値をUPさせるには何ができるか?」を問い続ける。
❶ 提供しているものは(提供価値は)商品そのものではない。
先ほどのJR、NTTドコモ、スターバックスの例を思い出してください。例えば、商社の場合で扱っているものが鉄鋼やガラスであったとしても、鉄鋼やガラスが提供価値ではありません。
さて、あなたが提供しているものは何でしょうか?
❷ 価値提供している相手は顧客だけとは限らない。
どのような価値を提供しているかが明らかになることで、現在の顧客層以外にも見込み客やアプローチできる層が新たに発見できるかもしれません。
商社の場合であれば、仕入れ先に対して、担当地域の販売力を提供しているとも言えます。つまり、商社のような間に入っている流通ビジネスは仕入れ先にも価値を提供しているわけです。
「自分が誰に何を提供しているか」を知らずして、ビジネスを成長させることは不可能です。
と、えらそうなことを書いてきましたが、渋谷自身もこの考え方に出会うまではわかっていませんでした。27年間商社マンとして鉄鋼関係に携わりましたが、長らく「鉄」を売っていると思っていました(汗)
❸ 「さらに提供価値をUPさせるには何ができるか?」を問い続ける。
「自分が誰にどのような価値を提供しているか」を特定した上で、
さらに「その価値をUPさせるには何ができるか?」を問い続け、日々の行動を変えていく
ことが最も重要です。

まとめ
ビジネスを成長させたいのであれば、常に問い続けることです。
社長やリーダーだけでなく、社員・メンバー一人ひとりがそれぞれに携わっているところで、
「誰に何を提供しているか?」
「さらに提供価値を高めるために、できることは何か?」
を問い考え続けて日々の行動をひとつでも変えていくから、ビジネスモデルは成長し、結果として成果につながるのです。
まずは、社内の朝礼やミーティングで短時間で社員や組織のメンバーと考える時間を取ってみてください。
もちろん答えはひとつではありません。その答えも時代とともに変わるものかもしれません。
「ビジネスの骨格」を問い直しながら、メンバーの今日の行動、明日の行動が自発的に変わっていく文化をつくっていきましょう。

